「宇宙からエネルギーを送る」…まるでSF映画のようなニュースが飛び込んできました。一見、私たちの仕事とは無関係に思えるこの話、実は日本のBtoBマーケターが学ぶべき重要な戦略のヒントが満載なんです。
SF映画が現実になる日も近い?「宇宙太陽光発電」計画とは
こんにちは!BtoBマーケティング専門ブログの編集部です。
先日、米TechCrunchで非常に興味深いニュースを見つけました。なんでも「Overview Energy」というスタートアップが、宇宙空間で集めた太陽光を、地上の太陽光発電所にビームで送るという壮大な計画を進めているというのです。
にわかには信じがたい話ですが、仕組みはこうです。
- 無数の人工衛星を打ち上げ、宇宙空間で太陽光を集める。
- 集めたエネルギーを赤外線レーザーに変換する。
- そのレーザーを、地球上にある既存の太陽光発電所(ソーラーファーム)にめがけて照射し、電力に変換する。
この技術の何がすごいかというと、天候や昼夜に関係なく、24時間365日、安定して太陽エネルギーを地球に供給できる可能性がある点です。夜間や雨の日には発電できないという、再生可能エネルギーの大きな課題を根本から解決するかもしれません。
さらに私が「うまいな」と感じたのは、エネルギーの受け皿として、ゼロから巨大な受信施設を作るのではなく「既存の太陽光発電所」を活用する点。これにより、初期投資を大幅に抑え、計画の実現性をぐっと高めているわけです。
さて、ここからが本題です。この未来のエネルギー技術の話から、私たちBtoBマーケティング担当者は何を学ぶべきでしょうか?
このニュースからBtoBマーケターが学ぶべき3つの視点
一見、突拍子もない技術ニュースですが、視点を変えると、そこにはBtoBマーケティングを成功に導くための普遍的なヒントが隠されています。私が特に重要だと感じた3つのポイントをご紹介します。
1. 人を惹きつける「壮大なビジョン」の語り方
もしOverview Energyが「高効率なエネルギー供給システム」という言葉だけで自社をアピールしていたら、ここまで注目を集めたでしょうか?おそらく、数あるエネルギー系スタートアップの一つとして埋もれてしまったはずです。
彼らが注目されたのは、「宇宙からエネルギーを届け、地球のエネルギー問題を解決する」という、誰もがワクワクするような壮大なビジョンを語ったからです。
これはBtoBマーケティングでも全く同じです。私たちはつい、自社製品の機能やスペック、導入事例といった「事実」を並べることに終始しがちです。しかし、顧客の心を本当に動かすのは、その製品やサービスが「どんな未来を実現するのか」「どんな社会課題を解決するのか」というストーリーです。
自社の事業を「XX業界向け業務効率化ツール」と定義するのではなく、「XX業界の働き方を根本から変革し、すべての人が創造性を発揮できる社会を作る」と語る。こうした視点の転換が、競合との差別化を図り、共感を生むブランディングに繋がるのです。
2. 賢い「既存アセットの活用」という発想
前述の通り、Overview Energyは既存の太陽光発電所をパートナーとして巻き込む戦略をとっています。これは、マーケティングにおけるパートナー戦略やアライアンスの重要性を示唆しています。
すべてを自社だけでやろうとすると、時間もコストもかかります。しかし、業界内に存在する既存のプレイヤーやコミュニティ、メディアといった「アセット(資産)」をうまく活用することで、マーケティング活動を何倍にも加速させることができます。
- 業界のキーパーソンと組んで共催ウェビナーを実施する
- 既存顧客に成功事例として登場してもらい、信頼性を高める
- 補完的なサービスを持つ企業と連携し、互いの顧客を紹介し合う
「自社だけで頑張る」という発想から、「誰と組めばもっと大きなインパクトを出せるか?」という発想へ。この視点は、リソースが限られる中小企業やスタートアップにとって特に重要だと言えるでしょう。
3. 競争から抜け出す「カテゴリー創造」戦略
Overview Energyは、「太陽光発電」という既存市場で戦っているようで、実は「宇宙太陽光発電(SBSP)」という全く新しいカテゴリーを創り出そうとしています。
新しいカテゴリーを創造し、その第一人者として市場を定義することができれば、価格競争に巻き込まれることなく、業界のリーダーとしての地位を確立できます。これは、セールスフォースが「SFA/CRM」という市場を創り出し、HubSpotが「インバウンドマーケティング」という概念を提唱したのと同じ戦略です。
あなたの会社が提供している製品やサービスは、単なる「既存の何か」の改良版でしょうか?それとも、顧客の課題に対する「新しい解決策」や「新しい考え方」を提示するものでしょうか。
もし後者であれば、単に製品を売るだけでなく、その背景にある思想や方法論を啓蒙し、新しい市場(カテゴリー)そのものを育てていく視点を持つことが、長期的な成功の鍵となります。
まとめ:未来のニュースを「自分ごと」として捉えよう
今回は、「宇宙太陽光発電」という最先端のニュースを切り口に、BtoBマーケティングのヒントを探ってみました。
- 壮大なビジョンを語り、共感を呼ぶ
- 既存のアセットを活用し、賢くスケールする
- 新しいカテゴリーを創造し、競争を無力化する
これらのポイントは、どんな業界のBtoBマーケターにとっても役立つ普遍的な考え方のはずです。
日々流れてくるニュースをただ消費するのではなく、「この動きは、自社の業界や顧客にどんな影響を与えるだろうか?」「この成功事例から、自分の仕事に活かせるヒントはないだろうか?」と、一歩踏み込んで考えてみる癖をつけるだけで、マーケティングのアイデアは無限に湧き出てくるかもしれません。
まずは一度、あなたの会社の「壮大なビジョン」とは何か、チームで話し合ってみてはいかがでしょうか。

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