GoogleとAppleが緊急更新。BtoBマーケ担当者が知るべきセキュリティの話

先日、GoogleとAppleが相次いで緊急セキュリティアップデートを発表しました。一見、私たちマーケターには関係ないように思えるこのニュース、実は事業の根幹を揺るがしかねない重要な示唆を含んでいます。

発端はGoogleとAppleの緊急セキュリティアップデート

先日、米TechCrunchが報じたニュースによると、AppleはiPhoneやMacなどの主力製品すべてを対象に、GoogleはWebブラウザChromeに対して、緊急のセキュリティアップデートをリリースしました。

原因は「ゼロデイ攻撃」が確認されたため。もしかしたら、あなたも耳にしたことがあるかもしれませんね。

ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアに存在する脆弱性(セキュリティ上の穴)が発見されてから、開発元が修正パッチを提供するまでのタイムラグを狙ったサイバー攻撃のことです。つまり、防御する側がまだ対策できていない、まさに「無防備」な状態を狙い撃ちする、非常に悪質な攻撃手法です。

今回、世界中で使われているApple製品やChromeブラウザで、すでにこの攻撃による被害が確認されたため、両社は「緊急」アップデートの配信に踏み切った、というわけです。

なぜ、セキュリティの話がBtoBマーケターに関係あるのか?

「なるほど、大変なことなんだな。でも、セキュリティは情報システム部門の仕事でしょ?」

もしあなたがそう思っているなら、少しだけ考えをアップデートする必要があるかもしれません。現代のBtoBマーケティング活動は、もはやセキュリティと切り離しては考えられないからです。その理由は、大きく3つあります。

1. マーケティング活動の主戦場は「デジタル」

考えてみてください。私たちが日常的に使っているツールは、WebサイトのCMS、MAツール、SFA/CRM、広告配信プラットフォーム、アクセス解析ツール…そのすべてがインターネットに接続されています。外部のSaaSを利用することも当たり前になりました。

これらのツールやプラットフォームのどれか一つにでも脆弱性があれば、そこが攻撃の入口になりかねません。例えば、Webサイトが改ざんされてマルウェアをばらまくようになってしまったり、広告アカウントが乗っ取られて不正な広告を出されたり…考えただけでも恐ろしいですよね。マーケティング活動がデジタルに依存すればするほど、そのリスクは高まっていくのです。

2. 顧客情報という「最重要資産」を守る責任

BtoBマーケターが扱うものの中で、最も重要なものは何でしょうか。それは、見込み顧客や既存顧客からお預かりした「情報」です。

MAやCRMに蓄積された顧客データは、まさに企業の宝であり、事業の生命線。もし、セキュリティインシデントによってこれらの情報が外部に漏洩してしまったらどうなるでしょう。顧客からの信頼は一瞬で失墜し、損害賠償問題に発展する可能性もあります。築き上げてきたブランドイメージが毀損し、商談や契約が破談になるかもしれません。

顧客データを活用してビジネスを成長させる責任と、そのデータを安全に守る責任は、表裏一体なのです。

3. 自分自身が攻撃の「踏み台」になるリスク

「自分は重要なデータなんて扱っていないから大丈夫」というのも間違いです。マーケターの業務PCがマルウェアに感染すると、そのPCを踏み台にして社内ネットワーク全体へ攻撃が広がる可能性があります。

特にマーケターは、外部の制作会社やパートナー企業とのやり取りでファイルを受領したり、情報収集のために様々なWebサイトを閲覧したり、多くのメールマガジンに登録したりと、外部との接点が多い職種です。これは、フィッシング詐欺などの標的になりやすいことを意味します。

何気なくクリックしたメールのリンクが、会社全体を危険に晒す引き金になるかもしれないのです。

マーケターとして「今すぐ」できること

では、私たちは具体的に何をすればよいのでしょうか。専門的な知識がなくても、日々の業務の中で意識できることはたくさんあります。

基本のキ:ソフトウェアを常に最新の状態に保つ

今回のニュースがまさに教えてくれる教訓です。お使いのPCのOS(WindowsやmacOS)や、ChromeなどのWebブラウザの自動更新は有効になっていますか? 「後でやろう」と通知を無視し続けていませんか?

ソフトウェアのアップデートには、新機能の追加だけでなく、今回のような脆弱性の修正が含まれていることがほとんどです。面倒くさがらず、常に最新の状態を保つことが、最も簡単で効果的な防御策になります。

基本のキ:パスワード管理を徹底する

様々なSaaSツールを利用するマーケターにとって、パスワード管理は悩みのタネかもしれません。しかし、「推測されにくい複雑なものにする」「サービスごとに使い回さない」は鉄則です。

可能であれば、多要素認証(MFA)を積極的に利用しましょう。ID/パスワードに加えて、スマートフォンアプリなどによる追加認証を行うことで、不正ログインのリスクを劇的に下げることができます。パスワード管理ツールの導入を検討するのも良いでしょう。

アンテナを磨く:「怪しい」と感じる直感を信じる

「【緊急】パスワードがリセットされました」「請求書送付のご案内」といった、思わずクリックしてしまいそうな件名のメールには特に注意が必要です。送信元のメールアドレスは本当に正しいか? リンク先のURLは不自然ではないか?

少しでも「おかしいな」と感じたら、クリックする前に立ち止まる癖をつけましょう。そして、自分だけで判断せず、情報システム部門に相談する文化を社内に作ることも大切です。

まとめ:セキュリティは「守り」ではなく、信頼を築く土台

セキュリティ対策と聞くと、つい「面倒な制約」「コストのかかる守りの施策」と考えてしまいがちです。しかし、視点を変えれば、セキュリティは顧客の信頼を勝ち取り、安心してマーケティング活動に専念するための「攻めの土台」とも言えます。

私たちマーケター一人ひとりがセキュリティ意識を高く持つことが、結果として企業のブランド価値を守り、事業の継続的な成長に繋がっていきます。今回のニュースをきっかけに、ぜひご自身の働き方や会社のルールを一度見直してみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました