要約:結論ファースト
情シスは「安定・安全・運用負担↓」が意思決定の軸です。媒体はテック専門メディア/ITコミュニティ/SaaSベンダー系NLが主戦場となります。クリエイティブは“リスク回避・運用工数削減・既存環境との整合性”を第一訴求にし、ウェビナー(技術検証・運用ハック)→資料DL(要件定義テンプレ)→PoCの3段階CVで設計するのが定石です。
情シスの”仕事都合”を理解する(ペイン×KPIマップ)
情シスの評価指標(KPI)と日常の”痛み”を踏まえ、広告の価値提案を再定義します。
| 観点 | 現場の痛み | 刺さる価値提案(コピー方針) | 追うべきKPI |
|---|---|---|---|
| 安定運用 | 障害/インシデントの火消し | 「導入後の障害件数–40%/SLA実績」 | ウェビナー参加率、再訪率 |
| セキュリティ/コンプラ | 監査・ゼロトラスト対応・シャドーIT | 「監査項目にそのまま貼れる証跡出力」 | 資料DL率、アカウント発行率 |
| 工数削減 | チケ対応・台帳/棚卸・権限運用 | 「運用タスク自動化で月◯時間削減」 | デモ予約数、PoC申込率 |
| 既存資産との整合 | AD/IdP/MDM/ITSM連携 | 「既存IdP 15分接続/エージェント不要」 | 技術資料リクエスト率 |
媒体タイプ別の”向き/不向き”早見表
価格相場や在庫は変動が大きいので、ここでは評価軸を固定化しています。各媒体はこのフレームで棚卸してください。
媒体タイプ比較(雛形)
| 媒体タイプ | 想定リーチ(職種/役職) | メール面の形式 | ターゲティング | 強み | 弱み | 使いどころ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| テック専門メディア系NL | IT/情報シス、情シスMgr~部長 | 同梱/スポンサード/単独配信 | 職種/業界/役職など | 技術文脈の許容度が高い、指名獲得に強い | 在庫依存、単価高め | 技術ウェビナー/要件定義テンプレDL |
| SaaSベンダー自社NL(協賛) | 既存SaaS利用者・検討層 | 共同Webinar/相互紹介 | 施策連動 | ドンピシャ課題×意思決定ラインに届く | 競合近接/ブランド整合性要確認 | 共催ウェビナーで信頼借用 |
| ITコミュニティ/勉強会NL | 実務者~テックリード | 紹介枠/イベント告知 | コミュニティ属性 | 参加意欲高くCVR良 | 到達規模に限界 | 高度技術テーマ/ハンズオン誘導 |
| 総合ビジネス/役職ターゲティングNL | 部長/役員含む混合 | スポンサード | 役職・企業規模 | 決裁者に当たりやすい | 技術深度は浅め | 予算/承認フェーズの後押し |
実務ヒント: まずは技術深度が高い媒体で質の高いMQLを作り、その後に役職ターゲティング媒体で稟議/承認層を押さえる”二段ロケット”が王道です。
クリエイティブ設計:件名・本文・CTAの型
件名テンプレ(コピペ可)
- 【監査対応】証跡自動化テンプレ配布:ゼロトラスト移行の実録と失敗回避
- 【運用–40%】棚卸・台帳の自動更新を既存MDMと15分接続
- 【障害削減】SLA99.9%の裏側を公開ウェビナー(導入社の運用手順つき)
- 【情シス限定】稟議一式(要件定義/見積/リスク表)無料DL
本文構成(PAS+証拠)
Pain: 監査前だけMTTR短縮施策を寄せ集め→属人化が進む
Agitate: 台帳更新・権限棚卸は毎月の燃え尽き要因
Solution(証拠): 導入30日で運用工数–28%/AD連携15分/監査チェックリスト互換
CTA:
- A: 技術ウェビナー(ライブQ&A/構成図配布)
- B: 稟議一式セット(要件定義, リスク対策表, 工数試算表)DL
- C: PoC申込(2週間/既存IdPのみで試せる)
トーン: 売り込み臭を消し、“実務で使う”資料・構成図を前面に。数字は「工数・障害・監査項目」のいずれかで提示します。
シナリオ別おすすめ組み合わせ
| 目的 | 1stタッチ(集客) | 2nd(評価/比較) | 3rd(確証/社内説得) |
|---|---|---|---|
| 監査・セキュリティ強化 | テック専門メディアNL × 技術ウェビナー | 事例記事同梱+監査対応テンプレDL | 稟議一式/PoC |
| IT運用自動化(台帳/権限) | コミュニティNL × 運用ハック回 | 連携手順動画+構成図 | 運用コスト試算表+役職NLで承認層 |
| ゼロトラスト/ID統合 | ベンダー系共催NL × 移行実録 | 互換性マトリクスDL | PoC+総合ビジネスNLで部長/役員後押し |
比較表テンプレ(媒体選定ワークシート)
埋めて使えるスコアリング表です。点数は1–5で評価します。
| 評価軸 | 重み | 媒体A | 媒体B | 媒体C |
|---|---|---|---|---|
| リーチの適合度(情シス比率) | 3 | |||
| 技術深度(ウェビナー/技術記事親和) | 3 | |||
| ターゲティング精度(職種/役職/規模) | 2 | |||
| 形式の自由度(単独/同梱/HTML可) | 1 | |||
| 配信実績(開封/CTRの再現性) | 2 | |||
| 連動可否(ウェビナー/PoC誘導) | 3 | |||
| 価格効率(想定CPL/CPM) | 2 | |||
| 合計(加重) |
算出式(CPLの目安):
$$\text{CPL} \approx \frac{\text{媒体費}}{\text{到達数} \times \text{開封率} \times \text{CTR} \times \text{LPCVR}}$$
LPは技術ウェビナー:15–30%、資料DL:25–40%を目安(初期値)としてください。
ランディング設計:LPの必須ブロック(情シス用)
課題→監査/障害/工数の数字化(自社調査でもOK)
構成図・連携マトリクス(IdP/MDM/ITSM別)
既存環境での試行手順(5ステップ)
証跡・監査対応の出力例(スクショ)
稟議一式ダウンロード(要件定義・リスク・見積雛形)
FAQ: データ保持、権限、SLA、ロールバック
マルチCV設計(“一発CV”に依存しない)
- CV1: 技術ウェビナー登録
- CV2: 稟議一式DL
- CV3: PoC申込
- 副CV: 技術ブログ購読/GitHub Star/アーキ図PDF
ポイント: メール→LPの単線CVは不安定です。“評価→説得→試用”の複線で受けると歩留まりが安定します。
A/Bテスト設計(14日サイクル)
| テスト項目 | 仮説 | A | B | 判定指標 |
|---|---|---|---|---|
| 件名 | “監査”ワードで開封↑ | 【監査対応】証跡テンプレ | 【運用–40%】台帳自動化 | 開封率 |
| CTA配置 | 上部配置でCV↑ | 上部1・中部1 | 上部2(連打) | CTR/登録率 |
| オファー | 技術ウェビナー vs 稟議一式 | ウェビナー訴求 | 稟議一式訴求 | 登録率/PoC遷移 |
失敗パターンと回避策(情シスあるある)
失敗: 製品の”夢”を語る → 回避: 構成図/証跡UI/連携手順を出す
失敗: 上長承認で止まる → 回避: 稟議一式を同時提供
失敗: PoCまで遠い → 回避: IdPだけで試せるミニPoCを用意
失敗: 開封はあるがCVしない → 回避: 技術ブログ購読など副CVを設置
実行ロードマップ(初月~90日)
0–30日: 媒体選定(上のスコア表で3つに絞る)/技術ウェビナー台本とデモ環境整備/稟議一式作成
31–60日: 2媒体でA/Bテスト/事例1本公開/コミュニティ枠テスト
61–90日: 役職ターゲティング媒体を追加し承認層獲得/PoC→本契約のナーチャリング(ケースメール3通)
チェックリスト(配信前の最終確認)
- [ ] ターゲット(情シス比率/役職)の”証拠”を媒体側から取得
- [ ] 技術ウェビナー:構成図/デモ/QA準備済
- [ ] 稟議一式:要件定義・リスク表・工数試算を自社フォーマット対応
- [ ] LP:マルチCV実装(ウェビナー/稟議/PoC)
- [ ] UTMとKPIダッシュボード連携(ソース別CVR)
- [ ] 配信面:配信元表示/オプトアウト/問い合わせ導線
まとめ
情シスは“壊れない・守れる・回る”の3点で動く部門です。媒体は技術深度→承認層の順で当て、オファーは技術ウェビナー/稟議一式/PoCの三本柱。構成図と証跡を最前面に出すことで、開封後の”腹落ち”が段違いに高まります。


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