もう限界かも?スプレッドシートでの営業管理がつらくなる5つのサイン

Uncategorized

「スプレッドシートで営業管理してるんだけど、なんかもうしんどいな…」そんなモヤモヤが出てきたら、それは限界が近づいているサインかもしれません。

最初は便利だったはずのスプレッドシートが、いつの間にか負担になっている。そんな状況に心当たりがある方も多いんじゃないでしょうか。今回は、Googleスプレッドシートで営業管理をしているときに出てくる「危険信号」と、そのときに取りうる現実的な選択肢について整理してみたいと思います。

スプレッドシート営業管理が危険信号になる場面

同じファイルが社内に何個も増殖している

「営業管理_最新版」「営業管理_本当に最新版」「営業管理_2025_修正版_nozaki」──こんなファイル名、見覚えありませんか?

メール添付やSlackでの共有のたびに、別ファイルが量産されていく。誰かが複製を作って自分用に編集しはじめる。気づいたら「どれが正式版なのか分からない」状態になっている。実はこれ、かなりよくある話なんです。

この状態になってしまうと、最新の数字がどれなのか分からなくなります。社内で「数字がズレてる」という議論が起きたり、修正があっても全バージョンに反映しきれなかったり。本来、一つのマスターファイルで全員が同じ数字を見るためにスプレッドシートを使い始めたはずなのに、いつの間にか分断された台帳が乱立する世界になってしまうんですよね。これが最初の危険信号です。

更新者が一部の人に偏っている

よくあるのが、「営業管理は○○さんしか触ってない」とか、「更新の仕方が難しくて、結局事務担当の人が全部入力している」、あるいは「営業メンバーは、たまに見るだけ」というパターンです。

これは裏を返すと、入力設計が現場の運用と合っていなかったり、シート構造が複雑で触るのが怖い状態だったり、更新を誰かの仕事にしてしまっているというサインでもあります。

更新者が偏ると、その人が休んだり辞めたりした瞬間に運用が止まるリスクが一気に高まります。「属人化したスプレッドシート」は、短期的には回っているように見えても、長期的にはかなり危うい状態なんです。

案件の抜け漏れをあとから気づく

「あれ、この案件、そもそもスプレッドシートに載ってないじゃん…」「見積り出したのに、フォローが抜けてた」「メールはやり取りしてたけど、案件登録してなかった」。こうした後追いでの抜け漏れ発覚が増えてきたら、かなり危険ゾーンに入っています。

スプレッドシートは、メールやWebフォーム、名刺管理、チャットといった他のチャネルの情報と自動でつながっているわけではないので、人力での転記が前提になります。「入力を忘れた」「あとで入れようと思って忘れた」「誰かが入れてくれていると思っていた」といった、人間らしいミスがそのまま機会損失に直結しやすいのが、スプレッドシート営業管理のつらいところなんですよね。

月次集計のためのコピペ作業が地獄

月末や月初になると、過去のデータから当月分だけコピペしたり、担当者別や商品別の集計を関数とにらめっこしながら作ったり、グラフ用の表を別シートに毎月作ったり。こういった作業に数時間から数日かかっていないでしょうか。

この状態の特徴は、データ入力と集計が同じシートの中でごちゃ混ぜになっていること。途中で仕様が変わり続けた結果、構造がぐちゃぐちゃになっていること。関数を組んだ本人しか、仕組みを理解していないこと。つまり、運用の歴史を重ねるほどレガシー化していくスプレッドシートになってしまっているんです。

「月次レポートを出すのが憂うつ」「数字の整合性チェックで土日が潰れる」。ここまできたら、ほぼ間違いなく限界サインだと思います。

アクセス権や情報漏洩リスクが怖くなってきた

スプレッドシート営業管理は便利な一方で、情報セキュリティの線引きが曖昧になりがちです。

たとえば、外部パートナーにURLを送ってそのまま閲覧権限を付けていたり、退職者が昔共有されたスプレッドシートにいつでもアクセスできそうだったり、個人のGmailアカウントで管理していて会社としてコントロールできていなかったり。

営業管理シートには、顧客の会社名や担当者名、メールアドレスや電話番号、商談内容や金額、見積もりといった機密性の高い情報が詰まっています。「なんとなく怖い」「これってコンプラ的に大丈夫なのかな…?」という感覚が出てきた時点で、運用レベルをアップデートするタイミングに来ていると考えた方がいいでしょう。

よくある解決パターン

「限界かも…」と感じたときに、いきなり高機能なツールに全面移行する必要はありません。多くの企業は、次のようなステップを踏みながら徐々にアップデートしています。

スプレッドシートの運用ルールを整える

まずできるのは、スプレッドシートのまま運用を整えることです。

たとえば、ファイルは一つだけに限定して「勝手に複製しない」ルールを決める。「入力必須項目」と「入力不要項目」を決めて、シートをシンプルにする。入力マニュアルを短く用意して全員で共有する。データ入力用シートと集計やレポート用シートを分ける、といった工夫です。

さらに、Googleスプレッドシートの機能を使って、プルダウン(データの入力規則)で表記ゆれを防いだり、フィルタビューで各自が見たい切り口で閲覧できるようにしたり、QUERYやピボットテーブルで集計作業を自動化したり。こういった工夫をするだけでも、とりあえずの限界は少し伸ばせます。

一部データだけ専用ツールに切り出す

次に多いのが、全部を一気に変えず、しんどい部分だけを専用ツールに任せるパターンです。

例としては、名刺管理や問い合わせ管理だけを専用ツールに任せて、そこからスプレッドシートに同期する。メルマガやステップメール配信だけMAツールに任せる。見積りや請求書だけクラウド請求ツールに、案件情報と連携する、といった方法があります。

こうすると、もともと手作業でしんどかった部分だけ自動化できて、いきなり大きな投資や大改革をしなくて良いですし、投資対効果のイメージも掴みやすくなります。スプレッドシートを中心にしつつ、周辺をパーツごとに専用ツールで固めていくイメージですね。

営業プロセス全体を見直して設計し直す

ある程度の規模になってくると、根本的に「どこからがリードで、どこからが案件か」「誰が、どのタイミングで、どの情報を入力するのか」「何を指標にして営業会議をするのか」といった営業プロセス自体を設計し直す必要が出てきます。

この段階になると、スプレッドシートの行や列ベースの管理には限界があります。顧客、案件、活動履歴、見積、請求などを別々のテーブルで管理した方が自然ですし、人や組織が増えても回る仕組みが求められるため、SFA(営業支援)やCRM(顧客管理)、簡易MA(マーケティングオートメーション)などの専用ツールを検討するフェーズに入ります。

ここでは、まずどんな営業プロセスにしたいか、そのプロセスをGoogle Workspaceとスプレッドシートでどこまで再現するか、そのうえで足りない部分をどのツールで補うか、といった順番で考えると、なんとなく高機能ツールを入れて失敗するリスクを減らせます。

それでもスプレッドシートを使い続けるなら

「現時点では、まだツール導入までは踏み切れない」「コストや社内体制を考えると、もう少しスプレッドシートで粘りたい」。そんなケースも当然あると思います。その場合でも、最低限ここだけはおさえておきたいポイントがあります。

最低限やっておくべきバックアップと権限管理

まずはデータ保全と権限管理です。

管理用のGoogleアカウント(ワークスペースの管理ドメイン)でファイルを作成する。個人アカウントで営業管理ファイルを持たせない。権限は「閲覧のみ」「コメントのみ」「編集権限」を明確に分ける。外部共有リンクは「特定のユーザーのみに限定」して、「リンクを知っている全員」にはしない。月1回はバックアップとして別ファイルにコピーしたり、Excel形式でローカル保存したりしておく。

こうした運用だけでも、退職者がデータを持ち出すリスクや、間違って削除したときの復旧難易度を大きく下げることができます。

運用をシンプルに保つための考え方

スプレッドシート営業管理を続けるなら、「足さない勇気」を持つことがすごく重要です。

意識したいポイントとしては、項目は意思決定に使うものだけに絞ること。誰も見ない項目、誰も入力しない項目は削る。「この人専用の列」「この部署専用の裏列」をどんどん増やさない。列が増えたら、同時に何かを削るルールにする。数式やスクリプトを組むときは、その仕組みを新人にも説明できるかを基準にする。シートを増やすときは、何のために分けるのか、誰がどう使うのかを必ず明文化する。

キーワードは、「簡単に説明できる=再現できる=属人化しない」という状態をキープすることです。

スプレッドシート営業管理の限界サインを見逃さない

最後に、スプレッドシート営業管理がつらくなってきたときのサインを振り返ってみましょう。

同じファイルが社内に何個も増殖している。更新者が一部の人に偏っている。案件の抜け漏れをあとから気づく。月次集計のためのコピペ作業が地獄。アクセス権や情報漏洩リスクが怖くなってきた。このあたりが複数当てはまるようであれば、運用ルールの見直しかツールの導入か、いずれかの検討タイミングに来ています。

スプレッドシートは、小さく始めるには最高の営業管理ツールだと思います。一方で、社員数や案件数、関わる人の数が増えるほど、どうしても限界が見えてきます。

まずはスプレッドシートの運用を整える。しんどい部分だけを専用ツールに切り出す。将来的には、営業プロセス全体を見直して設計し直す。こういったステップをイメージしながら、自社にとってちょうどいい「次の一歩」を考えるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました