Salesforce・HubSpot・Google Workspace・Microsoft 365、CRMはどれを選ぶ?規模別・フェーズ別のおすすめ構成

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「そろそろCRMをちゃんと入れたい。でも Salesforce は重そうだし、HubSpot がどこまで必要かも分からない。
今は Google Workspace や Microsoft 365でスプレッドシート管理していて、正直そこまで困ってもいない──。」

営業やマーケの現場で、よく聞く悩みです。

この記事では、

  • Salesforce
  • HubSpot
  • Google Workspace
  • Microsoft 365

この4つを取り上げて、

「自社の規模・フェーズだと、どんな組み合わせが現実的なのか?」

を、規模別・フェーズ別に整理していきます。
特に、Google Workspace / Microsoft 365 を“なんちゃってCRM”として賢く使う方法も具体的に触れていきます。


  1. そもそも、この4つは何が違うのか?
    1. Salesforce:大規模営業組織向けの“ど真ん中CRM”
    2. HubSpot:マーケ〜インサイドまで含めた“使いやすいCRM”
    3. Google Workspace:Gmail・スプシ・カレンダーで作る“軽いCRM”
    4. Microsoft 365:Excel・Outlook・Teamsを軸にした“脱・ローカルExcel”
  2. ツール比較の前に決めておきたい「5つの前提」
  3. Google Workspace を“CRMっぽく”使う現実的なやり方
    1. スプレッドシートでシンプルな案件管理
    2. Gmail + カレンダーでアポ管理を徹底する
    3. ドライブで資料を一元管理
    4. Googleフォームで“名刺のスプレッドシート転記”をやめる
    5. Google Workspace型CRMのメリットと限界
  4. Microsoft 365 を“CRMっぽく”使う方法
    1. Excel + SharePoint / OneDrive で案件共有
    2. Outlook + Teams でコミュニケーション履歴を残す
    3. Power Automate で軽い自動化
  5. 規模別・フェーズ別のおすすめ構成
    1. フェーズA:創業〜営業1〜2名(売上 〜1億円目安)
    2. フェーズB:営業3〜10名・インバウンドリードが増えてきた(売上 1〜5億円目安)
    3. フェーズC:営業10〜50名・部門横断の管理が必要(売上 5〜30億円目安)
    4. フェーズD:営業50名以上・複数事業/海外展開あり(売上 30億円〜)
  6. スプレッドシート/Excel CRMを“卒業”したほうがいいサイン
  7. まとめ:大事なのは「今のフェーズに合った一歩」を選ぶこと

そもそも、この4つは何が違うのか?

まずはざっくり「役割の違い」から整理します。

Salesforce:大規模営業組織向けの“ど真ん中CRM”

  • 特徴
    • SFA(営業支援)・CRM・ワークフロー・権限管理などが一通りそろった、本格的なクラウドCRM。
    • カスタマイズ性・拡張性が非常に高く、大きめの営業組織の“基幹システム”になりやすい存在です。
  • 向いている会社
    • 営業メンバーが10名以上いる
    • 商談数が多く、プロセスや承認フローをきっちり管理したい
    • ダッシュボードやレポートを経営指標として活用したい

HubSpot:マーケ〜インサイドまで含めた“使いやすいCRM”

  • 特徴
    • もともとはマーケティングオートメーション(MA)からスタートしたツール。
    • 「見込み顧客の獲得 → 育成 → 商談管理」まで一気通貫で扱えるのが強みです。
    • 無料プラン〜エントリープランがあり、中小企業やスタートアップでも始めやすい料金感
  • 向いている会社
    • Webサイトや広告からの問い合わせをもっと増やしたい
    • インサイドセールス体制を整えたい
    • マーケとセールスの情報を、ひとつのツールでつなぎたい

Google Workspace:Gmail・スプシ・カレンダーで作る“軽いCRM”

Googleには「Google CRM」という製品があるわけではありません。
ただ、Gmail / カレンダー / スプレッドシート / ドライブ / フォーム / Meetなどを組み合わせることで、

「小規模〜初期フェーズなら正直これで十分」

というレベルの“なんちゃってCRM”を作ることができます。

  • 向いている会社
    • 創業〜小規模フェーズ
    • 営業は1〜3名程度
    • まずはスプレッドシートで案件を見える化したい

Microsoft 365:Excel・Outlook・Teamsを軸にした“脱・ローカルExcel”

こちらも単体の「CRM製品」というよりは、Office製品一式+コラボツールの組み合わせです。

  • Excel / Outlook / Teams / SharePoint / Power Automate などを組み合わせて、案件管理や簡易CRMを構築できます。
  • 向いている会社
    • すでに Windows・Office 前提で業務が回っている
    • ローカルのExcelで営業管理しているが、クラウド前提に切り替えたい
    • Teams や SharePoint を社内コミュニケーションやファイル共有に使っている

ツール比較の前に決めておきたい「5つの前提」

いきなり「どのツールがいいか?」から入ると、だいたい迷子になります。
その前に、次の5つをざっくり決めておくと判断しやすくなります。

  1. 営業人数・組織の複雑さ
    個人〜数名なのか、10名を超えてチーム制なのか、50名以上の大組織なのか。
  2. 営業スタイル
    インサイド中心なのか、フィールドセールス中心なのか、代理店・パートナーが多いのか。
  3. マーケティングの比重
    MA(メール配信・スコアリング・LP連携など)まで一体でやりたいのか、当面は営業管理だけでいいのか。
  4. ITリテラシー・運用リソース
    管理者をちゃんと置けるのか。
    「運用できる人がいないのに、重いCRMを入れる」のはかなり危険です。
  5. 予算感(初期費用+月額)
    1ユーザーあたり月いくらまで出せるのか。
    無料〜数千円で始めたいのか、1人1万円クラスも許容できるのか。

このあたりをざっくり決めたうえで、ツールを当てはめていくと失敗しにくくなります。


Google Workspace を“CRMっぽく”使う現実的なやり方

「Google CRM」は存在しませんが、うまく設計すると小さい組織ではかなり戦えるCRM運用ができます。

スプレッドシートでシンプルな案件管理

まずは王道の「スプシCRM」から。

カラム例

  • 担当者
  • 会社名 / 氏名
  • メール / 電話
  • 流入経路(問い合わせフォーム / 紹介 / 展示会 など)
  • フェーズ(新規リード / 初回アポ / 提案中 / 見積提出 / 受注 / 失注)
  • 次回アクション日
  • 見積金額 / 受注見込み
  • メモ

このシートを、**「案件情報はここを見れば全部分かる」という“1枚”**にします。

運用のポイント

  • フィルタビューで「担当者別」「フェーズ別」を簡単に切り替え
  • 条件付き書式で「次回アクション日が過ぎている案件を赤表示」など、軽いアラートをつける
  • Apps Script を使えば、
    • 新規行が追加されたときに Chat / Slack に通知
    • 期日が近い案件のリマインドメール
      など、簡単な自動化もできます。

Gmail + カレンダーでアポ管理を徹底する

  • Gmail
    • 問い合わせフォームからのメールに自動ラベル付け
    • 「リード」「商談中」「既存顧客」など自社に合ったラベルで整理
  • Google カレンダー
    • 商談は必ず予定に登録し、招待に顧客のメールアドレスを追加
    • 案件シートに「該当カレンダーのURL」を貼っておくと、過去の商談履歴を追いやすくなります。

ドライブで資料を一元管理

  • 「/Sales/クライアント名/●●社」フォルダを作る
  • 中に以下をまとめて保存
    • 提案資料(スライド)
    • 見積書(スプシ or PDF)
    • 契約書(PDF)
  • 案件シートに「GoogleドライブのフォルダURL」を持たせておくと、探す手間がかなり減ります。

Googleフォームで“名刺のスプレッドシート転記”をやめる

  • 「展示会用名刺入力フォーム」や「商談メモ入力フォーム」を作っておき、営業がスマホから入力するだけにする。
  • 回答は先ほどの案件管理スプレッドシートへ自動で蓄積。

これだけで、**「名刺を持ち帰ってExcelに手入力」**という、よくある“ダサい作業”をかなり減らせます。

Google Workspace型CRMのメリットと限界

メリット

  • Workspaceの範囲で完結するので、追加コストほぼゼロ
  • スプレッドシートベースなので、誰でも扱いやすい
  • 自社の運用に合わせて、項目や構造をすぐ変えられる

限界

  • 権限管理や履歴管理は、本格CRMに比べると弱い
  • データ量が増えてくると「誰がどこを更新したか」が追いづらくなる
  • MA(スコアリングやシナリオメール)などは別ツールが必要

Microsoft 365 を“CRMっぽく”使う方法

考え方は Google Workspace とほぼ同じですが、
こちらは Excel / Outlook / Teams / SharePoint / Power Automate を組み合わせていきます。

Excel + SharePoint / OneDrive で案件共有

  • Excelで案件一覧のテーブルを作成
  • SharePoint or OneDrive Business 上で共有し、複数人で同時編集
  • ピボットテーブルやグラフで、フェーズ別・担当者別の集計を作成

もう一歩踏み込むなら、

  • SharePoint リストとして案件を管理
  • Power Apps で入力フォームを作成

といった構成にすると、「Excel管理だけど、かなりCRMっぽい」状態までは持っていけます。

Outlook + Teams でコミュニケーション履歴を残す

  • Outlookのメール・予定を基本ログとして使う
  • Teams のチャンネルを「営業全体」「案件別」「プロジェクト別」などに分け、商談メモや資料を共有

Power Automate で軽い自動化

  • 例)Webフォーム → SharePointリストに自動追加 → Teamsに通知 → 担当者にタスク発行

といったフローをノーコード寄りで組めるので、
「本格CRMまではいらないけど、ただのExcel管理からは一歩進みたい」という会社に向いています。


規模別・フェーズ別のおすすめ構成

ここからが本題です。
「結局、うちはどれを使えばいいの?」に答えていきます。

フェーズA:創業〜営業1〜2名(売上 〜1億円目安)

  • 状況
    • 創業したて、または新規事業の立ち上げ
    • 営業は社長+1名、もしくは社長ひとり
    • とにかく「案件を追い漏らさないこと」が最優先

おすすめ構成

  1. Google Workspace + スプレッドシートCRM
  2. または Microsoft 365 + Excel / SharePoint CRM

この段階で Salesforce を入れる必要は、ほぼありません。
コストも運用負荷も重く、使い切れないケースがほとんどです。

ポイント

  • 案件のステータス・見込み金額・次回アクションが見える化されていればOK
  • 「ツールを増やすより、商談数を増やす」フェーズと割り切ってしまって良いです

フェーズB:営業3〜10名・インバウンドリードが増えてきた(売上 1〜5億円目安)

  • 状況
    • 問い合わせフォームや資料請求が増えてきた
    • インサイドセールスを置き始めたい
    • Web / 広告 / セミナーなど、マーケ施策が増えつつある

おすすめ構成

  1. Google Workspace or Microsoft 365 + HubSpot Free〜Starter
  • 問い合わせフォーム → HubSpot に自動登録
  • メール配信や簡単なステップメール → HubSpot
  • 商談管理も、当面は HubSpot のパイプラインで対応可能

なぜこの組み合わせか?

  • このフェーズでつまずきやすいのは、
    「リードがどこから来て、今どうなっているのかが分からない」 状態です。
  • HubSpot は、
    • フォーム
    • メール配信
    • リスト管理
    • 簡易スコアリング
      を一緒に扱えるので、
      「マーケ〜インサイド〜フィールドをつなぐ最初の一歩」としてちょうど良いバランスです。

フェーズC:営業10〜50名・部門横断の管理が必要(売上 5〜30億円目安)

  • 状況
    • 営業組織がチーム制になり、マネージャーが複数人いる
    • プロダクト・事業ラインが増え、「どの事業がどのセグメントに売れているか」を見たい
    • 経営会議向けのレポートニーズが強くなってくる

おすすめ構成パターン

  1. HubSpot 有償プラン(Sales Hub / Marketing Hub)+ Workspace / M365
  2. Salesforce(本格CRM)+ Workspace / M365

選び方の目安

  • 営業人数が10〜20名程度で、
    • インバウンドリードの比率が高い
    • マーケとインサイドセールスが強み
      という会社なら、HubSpotの延長で戦えるケースが多いです。
  • 事業ラインが複数あり、
    • 部門をまたいだ商談管理
    • 権限設定や承認フロー
    • きめ細かいレポーティング
      が必要になってくると、Salesforce を基幹CRMとして導入する選択肢が現実的になってきます。

フェーズD:営業50名以上・複数事業/海外展開あり(売上 30億円〜)

  • 状況
    • 営業組織が部署・地域・事業部をまたいで存在
    • 海外拠点や子会社も含めてパイプラインを見たい
    • 予算管理・経営管理と強く結びついたレポートが必要

おすすめ構成

  • Salesforce を中核にした“基幹CRM”構成
    • Salesforce
      • リード〜商談〜受注〜アップセルまで一元管理
      • カスタムオブジェクト・権限・承認ワークフローをフル活用
    • Google Workspace / Microsoft 365
      • メール・カレンダー・ドキュメント・オンライン会議の基盤
      • Salesforce連携で、メールや予定を自動で商談に紐付け

このクラスになると、「使いやすさ」よりも
**「基幹システムとしての安定性・拡張性・エコシステム」**が重要になってきます。

その一方で、

  • 専任の管理者(社内SE・情報システム部)が必要
  • パートナー企業と一緒に運用体制を組むことが前提

といった条件もセットになってきます。


スプレッドシート/Excel CRMを“卒業”したほうがいいサイン

Google Workspace / Microsoft 365 ベースのCRMはとても優秀ですが、
次のような状態になってきたら、そろそろ本格CRMを検討してもよいタイミングです。

  • シートが肥大化して、「誰も数字を信用していない」
  • 誰かが誤って上書きし、復旧に毎回時間がかかる
  • メール・カレンダー・商談メモ・資料がバラバラの場所にある
  • マネージャーが毎週、手作業でレポート(フェーズ別件数・パイプライン金額など)を作っている
  • インサイド→フィールドへの引き継ぎ漏れが目立つ
  • CSVのインポート/エクスポート作業が日常になっている

ここまで来ると、
「スプシはもう限界。ツールを変えないと、これ以上きれいに管理できない」
というサインです。


まとめ:大事なのは「今のフェーズに合った一歩」を選ぶこと

最後に、ざっくりおさらいです。

  • 創業〜営業1〜2名
    • 👉 Google Workspace もしくは Microsoft 365 + スプレッドシート/Excel CRM
    • まずは「案件の見える化」と「アクション漏れ防止」ができれば十分。
  • 営業3〜10名・インバウンド増加フェーズ
    • 👉 Workspace / M365 + HubSpot Free〜Starter
    • マーケ〜インサイド〜フィールドをつなぐ“軽量CRM”としてちょうど良い。
  • 営業10〜50名・部門横断で管理したい
    • 👉 HubSpot 有償 or Salesforce + Workspace / M365
    • どこまで「基幹システム」として使いたいかで選択。
  • 営業50名以上・複数事業/海外展開
    • 👉 Salesforceを中心とした本格CRM構成
    • ツールというより「システム&運用体制」として設計していくフェーズ。

ポイントは、

「世の中で一番有名なCRM」ではなく、
「いまの自社のフェーズにちょうどいい構成」 を選ぶこと。

  • 重いツールを入れても、運用できなければ意味がない
  • 逆に、いつまでもスプシにしがみつくと、成長の足かせになる

ということです。

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